拙文書庫
稚拙な表現ではありますが、旅行記などを発表していきたいと思います。
最近の記事



プロフィール

Author:しゃんるうミホ
青春の思い出?若気の至り?
中国大陸をほっつき歩いた旅記録です。
現在、ラオス旅行記掲載中!



最近のコメント



最近のトラックバック



月別アーカイブ



カテゴリー



ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる



ブログ内検索



RSSフィード



リンク

このブログをリンクに追加する



Powered By FC2ブログ

Powered By FC2ブログ
ブログやるならFC2ブログ



スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消せます。

アジアぶらぶら顛末記
アジアぶらぶら顛末記 ネパール編

 その1 【本当に神の国なのか】

 旅行会社のカウンターでパンフレットをあれこれむさぼり読んでいたら、ネパール旅行のパンフレットにはやたらと魅力的な言葉が踊っていた。“世界の屋根に眠る神々の国”とか“旅人に優しい癒しの国”とか“マチャプチャレのふもとに温かいネパリの笑顔”とか、どれもこれも旅心をくすぐる誘惑的なキャッチフレーズが並んでいる。ヒンドゥの神が宿る彼の国にはありがたい何かが待っている。心癒される何かがある。遙か彼方からあたかも後光がさしてくるような、憧れにも似た気持ちにかき立てられ、ネパールはいつか行ってみたい国のリストに入ったのだった。

 更に、世界中を歩き回ってきた旅の達人たちから「ネパールいいよ」「ネパール、行っとく価値あるよ」などと異口同音にネパールを誉め称える言葉を聞けば、もうじっとしていられなくなった。100人が100人ともよい国だと思うなら行くっきゃない!いざ目指せ神の国!いざ行かんカトマンズ!というわけで、ロイヤルネパールエアーに乗り、着いた着いたネパールだあ~!

 さぁて、どんな素敵な国なんだろうと期待に胸躍らせて町を巡ってみるも、出逢うものといえば観光営業トークであった。

「トレッキングニ イラッシャイマスカ?」

 いえいえ、いたしません、と丁重にお断りしたのだが、

「ドウシテ トレッキングニ イラッシャイマセンカ?」

と食い下がってくる。どうしてって、そりゃあなた、人の勝手でしょうが。私はそんなしんどいことなんてしたくないのさ。ただ自由に町歩きをしたいだけ。それにその“イラッシャイマスカ”とか“イラッシャイマセンカ”とか敬語表現がどうもしっくりこないな。なんでだろうかと思ったら、“イラッシャル”以外はすべて友達に話しかけるような会話調の話し方をするからだった。とにかくトレッキングには行かないと答えると、

「エ?マジデ?ジャア、イツ トレッキングニ イラッシャイマスカ?」

・・・・・だ・か・ら・行かないって言ってるでしょ!会話に疲れるのだった。

 トレッキングのお誘いを避けるためカフェに入ってお茶を飲む。すると、隣のテーブルの男が話しかけてきた。

「アー ユー ジャパニーズ?」

 そうだよ、日本人だよ、文句ある?

「アイム ネパリ。ユー アー ビューティフル。メアリー ミー、オーケー?」

 なっ、何だよ急に!ユー アー ビューティフルまではいいだろう、そうだ、ビューティフルだ。それは正しいぞ。だけど、なんで会ったばかりのあんたと結婚せなあかんのだ。

「だって僕は、ここにいたら一生貧乏から抜け出せない。僕と結婚して日本に連れてってくれよ。ここから連れ出してくれよ。」

 このバカ者め!女を口説くのに本心をさらけ出してどうする!そんな下心はちゃんと隠しときなさい!逆タマ狙いならもっと作戦練りな!まったく、この国の男はデリカシーのかけらもないのか!

 ああ、こんなとこからは早く立ち去ろう。カフェから逃げるようにして今度はダルバール広場にやってきた。広場の石段に腰掛け、ここなら落ち着きそうだなと一息つくも、

「ニホンジンデスカー」
「ネパール ハジメテ?」

 流暢な日本語を操るネパールの男性が4,5人近づいてきた。な、なんだ、こいつら!

「コレカラ ドコ イクノ?」

 なんだよ、馴れ馴れしいな。どこへ行こうと私の勝手だ。しかし、なんでそんなに日本語が上手いのか?

「ワタシノ カノジョ ニホンジンネー。」
 
 一人の男が懐から一枚の写真を撮り出し、見せてくれた。そこにその男と一緒に写っているのは東アジア系の女性だ。この人があなたの彼女?

「ソウ。トモコ。トモコハ ヨク ネパールニ クル。」
「ニホンノ ジョセイ ネパール スキネ。」
「ニホンノ ジョセイ チョー ヤサシイ、ホントニ。」

 わあー、やめろ!その俗っぽい言葉!こんなタメ口っぽい日本語だったら、さっきの“イラッシャイマスカ”のほうがまだましだ。だけど、あんたら何か誤解してないか?日本人の女という女がすべて女神だとでも思ってるの?だいたいトモコだってさ、君のことネパールの友人くらいにしか思ってないかもよ。

「ネパールジント ケッコンスル ニホンノ ジョセイ オオイデス。」
「ワタシモ ニホンジント ケッコンシタイヨ。」

 こらこら、あんたら、揃いも揃って何を言う。中には甲子園球児が選手宣誓でもするかのごとく片手を挙げて『日本人女性と結婚するのが私の目標です』なんて張り切って叫ぶ者もいる。そんなこと言ったってアンタ、そんなに簡単に夢が実現するのか。

 ・・・・・それが実現するのだった。この日入ったレストランのマスターの嫁は日本人女性だった。また、サリーを身に纏った東洋風の女性と道ですれ違ったのだが、その人もネパール人に嫁いだ日本人だと後で知ることとなった。なるほど、成功例はそこらへんに結構転がっているのね。ということは、トモコがネパールに永住する日も近いかもしれないねェ。そうか、そういうことだから皆さん俄然日本語学習に熱が入るわけだ!日本語を学ぶ動機がここカトマンズでははっきりしている、と思わずメモっちゃうのだった。

 しかし、日本人女性ってそんなに期待されているのか。

「そうよ。たとえ中古車だって日本製は質がいいのよ。」

とは、バツイチの後ここカトマンズへ嫁に来た日本人女性の弁。彼女はカラカラと高らかに笑い、冗談よと言いながらもどことなく自信たっぷりの様子で、すっかり開き直っていらっしゃった。そうなのかー。人と車とではちと違うような気もするが、売り手市場のネパールなら、メイドインジャパンは高値で売れるんだな。よーし、自国でどうしても売れ残ってしまったらもう一度この国に来よう、とまたメモる私であった。

 それにしても、これがネパールの現実だとは。本当に神が宿ってる国なんかい!旅人に優しい国なんかい!
 町を歩けば下心丸出しのプロポーズ、歯科医院に入れば法外な治療代の請求、風邪引いて内科へ行けば必要以上に胸をタッチするスケベ医者・・・これがありがたいのかネパールめ!これが温かいのかカトマンズめ!何が笑顔だ!何が癒しだ!あのパンフレットに書いてあったウキウキするような言葉は全部嘘っぱちだったじゃないか!旅行会社も相当あくどい。
 スワヤンブナート寺院に描かれた半開きの眼に向かって「詐欺師め~!」と拳を振り上げ叫ぶ私だった。 


ブログランキング【くつろぐ】

ブログランキング

ブログランキング

テーマ:エッセイ - ジャンル:小説・文学


この記事に対するコメント

この記事に対するコメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する


この記事に対するトラックバック
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
トラックバックURL
→http://shanlu.blog75.fc2.com/tb.php/59-5f0775e2